近江vs草津東|第102回全国高校サッカー選手権大会滋賀県大会 決勝マッチレポート

目次

決勝は昨年と同一カードに。令和のライバル校対決。

2023年度の選手権滋賀県予選決勝は、昨年の新人戦決勝、今年のインターハイ予選決勝と同一カード。

2年連続の出場を狙う近江高校、昨年のリベンジを果たし2年ぶりの全国を決めたい草津東高校の1戦。この世代で過去2回対戦しているが全て延長までもつれ込んだうえで、近江が勝利を抑えている。

【新人戦決勝】近江1(3)-(1)1草津東
【インターハイ予選決勝】近江3-0草津東(延長)

令和時代の滋賀県を引っ張ってきたライバルの両校は、選手権予選決勝でも激闘を演じた。

両校のスタメンを紹介

近江高校スタメン

近江のスターティングイレブン。準決勝では途中出場となった8番山門がスタメンに戻ってきた。今季定着しているベストメンバーだ。

草津東高校スタメン

草津東のスターティングイレブンは準決勝とメンバーを若干入れ替えてきた。準決勝はボランチで出場した8番藤田が1列前に上がり、代わりに入ったのは2年生寺川。2年生エースの上原は1列落ちて代わりに長身FWの仙波が入る。

近江は慣れ親しんだ3-6-1、草津東も準決勝と同様に3バックの3-6-1でスタートするミラーゲームとなった。草津東は前線に機動力のある選手が多いため、この選手権に向けて3-6-1での戦い方を落とし込んできた。フォワードの一列後ろに位置するシャドーと両サイドのウイングバックでサイドを崩しにかかる戦い方だ。

序盤の草津東の猛攻耐えた近江が先制

序盤は草津東が猛攻を仕掛ける

序盤から中盤で激しい攻防が繰り広げられる。両チームとも中盤に多くの人数を割き、近い距離でのパスをテンポ良く繋ぐ。しかし、両チームともプレスが早く、球際が激しいためボールが行き来し、激しい主導権争いが展開される。

そんな中、序盤の攻防を制し先に先にチャンスを掴んだのは草津東。

前半4分、草津東10番上原のCKをニアで4番河合が頭で触り枠内に飛ばすも近江DFが決死のブロック。その後も立て続けに上原のCKから決定機を作るも得点に結びつかず。

前半10分、草津東FWの18番仙波が左サイドからドリブルで運び、ミドルを打つも枠を外れる。

序盤の草津東はテンションが高く、果敢に近江ゴールを目指した。マイボールになってからの前線の動き出しが良く、一直線にゴールに向かう姿勢は迫力満点。

また、近江の攻撃の起点、10番金山には草津東の8番藤田がしっかりとマークし、ボールを自由に持たせない。準決勝ボランチ出場であった8番藤田が一列前に上がったのは近江の金山対策であったことがピッチ外からでも一目瞭然だった。

耐え忍んだ近江。徐々にペースを握り先制に成功

しかし、草津東のペースであっても易々と得点を許さない近江は流石の一言。

序盤の攻勢を凌ぐと次第にボールが落ち着き始め、近江のリズムも生まれ始める。
前半15分7番鵜戸のドリブルからリズムを作りパスワークで崩しシュートまで持っていく。ボールは弾かれるもこぼれ球を近江が拾い波状攻撃が続く。最後は14番浅井が左足を振り抜くもバーの上に。

17分、ビルドアップで10番金山がポジションを上げる。金山、8番山門、4番西とテンポ良く繋ぎペナルティエリア前まで持ち込むも、草津東が中央をしっかりと絞りカット。しかしこぼれ球がエリア前で再び金山の前に。金山にボールが渡るや否や、すかさず9番小山が反応し草津東のDFライン裏に走り込む。金山から送られた優しいパスを受け取った小山がGKとの1対1を冷静に沈め先制に成功。

先制後もしばらく近江のペースが続く。前半の中盤あたりから縦パスが通り始め、パスワークにリズムが生まれる。また両ウイングバックもスピードに乗ったドリブルからチャンスを創出。

しかし、草津東も黙っていない。前半28分、10番上原の左CKがゴールに吸い込まれる。直接入ったかと思われたボールは近江の守護神山崎がパンチングで凌ぐ。

前半35分、近江のDFラインとボランチのビルドアップに草津東がプレッシャーをかける。草津東はビルドアップでのコントロールの乱れを狙い、複数の選手で奪いにかかるも金山が巧みなステップで交わし、DFライン裏にロングボールを入れる。走り込んだ9番小山のトラップは少し後ろにずれ難しい体勢となったが強烈なミドルが左隅に放たれる。しかし、草津東の守護神岡留が横っ飛びでファインセーブ。

38分、近江のビッグチャンスが続く。右サイドから6番川上と4番西を経由し、ボランチの位置まで上がってきた中央の金山にボールが渡る。ドリブルで相手を引きつけ、エリア内の11番荒砂に繋ぐ。荒砂にはすかさず草津東DFのチェックが入るも、狭いスペースで右足を振り抜く。ボールは左隅に飛ぶも僅かにポストを外れる。

その後は大きなチャンスはなく、近江の1点リードで前半終了。

両チームの選手交代が見事にハマった後半

2年生守護神やDFラインが決死の守備を見せる

後半、8番の藤田に代わり2年生ドリブラーのFW9番力石龍之介(MIOびわこ滋賀U15)が入る。

後半まず最初のシュートは草津東。後半2分、右サイドで二人かわした上原が9番力石に預け前線に駆け上がる。中央で受けた力石はエリア内に待ち構えていた18番仙波に早いボールをつける。ダイレクトで仙波から落とされたボールに、走り込んだ上原がエリア外から打つも、大きく枠を超える。

後半も前半と同様に草津東がペースを掴み猛攻が続くと思いきや、近江のペースで時間が進む。

前半はカウンターの起点となっていた草津東10番上原が、相手の10番金山に付いたことで守備の比重が大きくなり、下がった位置にいる時間帯が多くなったことから、草津東は奪ったボールを前線に送るもすぐに跳ね返されるシーンが増える。
また、再三攻撃の起点となっていた10番上原に対し、後半の近江は意識は強めていたことから、上原にボールが渡った際も自由にさせぬと、厳しいプレッシャーがかかる。

後半14分、近江チャンス。7番鵜戸がサイド深くまでドリブルで運び、後ろでフォローについていた6番川上にバックパス。川上のクロスを中央で受けた8番山門、上手く抑えてゴール右隅コースを狙うも草津東の2年生GK岡留がファインセーブ。

続いて、草津東が押し込み始めたかと思いきや近江のCB5番西村がカットし、相手DFライン裏のスペースにロングボールを送る。走り込んだ9番小山が左サイドでフリーとなりシュートを打つもまたしてもGK岡留がセーブ。

この日、幾度となく決定機を防いだ2年生守護神はまたしても近江の前に立ちはだかる。

近江ペースでの展開は続くも草津東が一瞬の隙をつき同点に

後半19分、近江の選手交代。FW荒砂に代わりDF川地(FOSTA)が投入される。7番鵜戸が一列前に上がり、右のウイングバックに川地が入る。

選手交代後しばらくして、待望の同点弾が生まれる。後半21分、近江のパスを前線でカットした9番力石が右サイドを走り込んだ18番仙波にスルーパス。ゴールまで距離があったが仙波は詰め寄る近江DFを意識したのか、ダイレクトで右足を振り抜く。強烈なロングシュートはニアに突き刺さり同点に。

後半はなかなか近江ゴール前までボールを運べていなかった草津東が一瞬の隙をつき試合を振り出しに戻した。

同点後、両チームの選手交代が活発になる。草津東は疲れが見えはじめた両サイドのウイングバックを替えさらに攻勢を強めようとする。7番塩尻に代わり20番谷口慧敏(FC湖東)が、15番木原に代わり11番森が入る。

また近江はMF8番山門に代わり20番大谷(MIOびわこ滋賀)が投入。

後半36分草津東にビッグチャンス。5番キャプテンの小楠が右サイドで粘り大きく左にサイドチェンジ。力石が中央で受けキープし右サイドの仙波にスルーパスを送り同点弾と同じようなシーンに。

仙波は同点弾と同じダイレクトで打つのではなくシュートフェイントで1枚かわし、細かなステップでDFをもう1枚かわす。シュートは近江GK山崎に弾かれるも再び拾い、無人のゴールへ打つ。しかし、途中出場の川地がゴール前にカバーで入り、シュートをブロック。

ピンチを凌いだ近江。終盤にビックチャンスが舞い込む。6番川上が右サイドからグラウンダーでクロスを送るもDFにブロック。これのこぼれ球に大谷が反応するも出足の早い岡留のビッグセーブによりゴールを割れず。

決勝に相応しい死闘の延長戦

延長戦は両チームとも疲労の影響によりラインをコンパクトに保てず(間延びし)、シュートチャンスが増えるオープンな展開になった。

延長前半2分、先にチャンスを作ったのはやはり近江。エリア内までパスを繋ぎクロスを受けた7番鵜戸がフリーで決定的なシュートを放つもまたも岡留がセーブ。

草津東も大人しくはしていない。GK岡留のパントキックから前線が粘り、拾った上原が遠い位置から振り抜くとバーを直撃。また延長前半9分、草津東SBの6番村田がインターセプトから左サイドを駆け上がりクロスを入れる。中央でDFを剥がして受けた上原が胸トラップし、左足を振り抜くもボールは僅かに外れる。

延長戦は草津東の決定機は多かったが・・・

延長後半1分。草津東の20番谷口がカットしたボールを左サイドに展開。左サイドで受けた9番力石が一人かわして中にクロスを入れる。仙波が頭で合わせたボールはゴールに突き刺さり逆転かと思われたがオフサイド。

後半3分、22番寺田が右サイドでカットし、前線に送る。DFラインの裏に抜けた力石が上手くトラップしシュートのモーションにが、近江DF5番の西村が滑り込んでカットし、シュートを打たせない。

このまま、PK戦に突入かと思われた後半アディッショナルタイム。最後にドラマが待ち受けていた。

近江が左サイドで14番浅井、18番山本と繋ぎ倒れ込みながら前線に送る。走り込んだ20番大谷がダイレクトで合わせファーに流し込み待望の追加点を奪った。この劇的なゴールにより近江は2大会連続3回目の出場を決めた。

決勝戦はどちらに転んでも分からないような試合で、まさに滋賀のトップチーム同士の一戦に。草津東は春のインターハイから全く違うチームに仕上げ、近江に肉薄したのはお見事でした。令和はこの2校が引っ張り、滋賀のレベルを高めてもらえることに期待が膨らみます。

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

  • URLをコピーしました!

コメントする

CAPTCHA


目次