滋賀県で唯一JFLに所属するMIOびわこ滋賀(以下、MIO)は、11月20日(日曜日)にJFL残留をかけた一戦に臨みました。
最下位のMIOの相手はJ3昇格がかかる2位FC大阪。この一戦はアウェーの花園ラグビー場第一グラウンドにて試合が行われました。
来場者数が最大の注目の一戦。結果は
この試合の注目はなんといっても来場者数。
3732人以上の来場があれば、ホーム来客数平均2000人を超えることができ、FC大阪のJ3参入が決定します。それに伴い、MIOの来季JFL残留が決定します。
なぜなら今季は16チームのうち下位2チームが降格するレギュレーションですが、同リーグからJ3昇格チームが出た場合はその昇格チームの数に合わせて降格枠も減っていくというルールだからです。
既に奈良クラブが昇格を決め15位の降格はなくなっているため、後はFC大阪の昇格が決まれば、最下位のチームも残留できることになります。
気になる結果は
試合の勝敗以上に、来場者数が注目される珍しい一戦。
結果はご存知のとおり、来場者数はクラブ最多の12,183人と、目標の3,732人を大きく超える来場により見事FC大阪はJ3昇格決定し、MIOは残留が決定。
さすが、大都市大阪が本気を出した結果と言ったところでしょうか。
最終戦はMIOが意地を見せる
少し最終戦の内容に触れます。
ともにハイプレスを嗜好するチームの1戦でした。
立ち上がりはFC大阪の選手の動きが硬かったのか、相手陣地で試合を進める時間が多かった印象です。
前半28分、MIO竹下選手(17番)のミドルシュートは惜しくもGKの横っ飛びでセーブ。
前半30分過ぎDFの斎藤選手(4番)がインターセプトから持ち上がりペナルティエリアに侵入しようとしたところで、最後は相手に倒されFKを獲得。
FKはゴール正面で30mほどの距離。キッカーは西室選手(23番)。
西室選手が左足で放ったボールは綺麗な弧を描きゴール右隅に突き刺さり、アウェーのMIOが先制に成功します。
先制後はホームの声援の後押しを受けるFC大阪が流れを掴みます。
前半36分、相手のCKからピンチを迎えます。意表をついたCKはゴールラインと並行のグラウンダーで中に入る。ニアに構えていた選手はワンタッチでバックパス、エリア外で受けた選手はダイレクトでセンタリング。DFラインを揺さぶったあとにゴール前に掘り込んだボールは惜しくも流れ、その後シュートまで持ち込むがMIOのDF陣が体を張ったブロックでゴールを許しません。
その後もFC大阪はテンポ良くパスを回しゴールに迫るがMIOの選手もくらいつきます。
前半43分、FC大阪のDFラインが入れたロングボールに反応したFW7番の伸ばした足が、MIO西口選手(29番)の顔に入る。あわや退場かと思いましたがイエローカードの提示。
このプレーで負った怪我の治療のためプレーが中断し、中断が長引いたためここで前半終了。MIOの1点リードで前半を折り返します。この試合で引退となる西口選手。後半もピッチに立てることを期待。
後半もFC大阪のペースで試合が進みます。メンバーチェンジはなし。
後半もFC大阪は右サイドの久保選手(元MIOの選手)が起点となりリズムを作ります。後半のMIOは防戦一方。
スルーパスに飛び込んだFWとの1対1や、強烈なミドルシュートもGK木戸選手(21番)が好セーブを見せます。また、DF陣だけでなく全選手が体を張って必死に守ります。
このまま試合終了まで猛攻を耐え抜くかと思われた後半36分、ついにFC大阪が追いつきます。
浅い位置で右サイドからクロスが上がり、ファーで飛び込んだ選手のヘディングシュートがポストに当たる。跳ね返ったボールを詰められて失点。
その後も勝って優勝してJFLを終えたいFC大阪の猛攻を耐えるMIO。幾度となく危ない場面を迎えますが、しっかりと守りタイムアップ。最終戦で、J3に昇格する相手に対し、来季に繋がる勝ち点1を奪いました。
なお、FC大阪はこの試合勝利していたら、JFLの優勝が決まったため、悔しい引き分けとなりました。
他力で決まった残留。MIOの今シーズンを振り返る
さて、この結果でMIOの来季JFLの参加も決まったわけですが、今シーズンの戦いぶりはどうだったのでしょうか。
例年中位のイメージがあるMIOですが、なぜここまで苦しんだのか。その要因を少し探ってみたいと思います。
JFL参入からここまでの成績
シーズン | 順位 | 勝点 | 勝 | 分け | 負 | 得点 | 失点 | チーム内 得点王 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2022 | 16位/16チーム | 21 | 5 | 6 | 19 | 21 | 57 | 竹下玲王(3) |
2021 | 12位/17チーム | 37 | 10 | 7 | 15 | 35 | 48 | 竹下玲王(9) |
2020 | 9位/16チーム | 20 | 6 | 2 | 7 | 23 | 27 | 坂本一輝(9) |
2019 | 9位/16チーム | 40 | 10 | 7 | 15 | 35 | 48 | 坂本一輝(14) |
2018 | 7位/16チーム | 46 | 13 | 7 | 10 | 38 | 35 | 坂本一輝(15) |
2017 | 13位/16チーム | 27 | 6 | 9 | 15 | 33 | 51 | 坂本一輝(6) |
2016 | 9位/16チーム | 40 | 11 | 7 | 12 | 38 | 45 | 坂本一輝(11) |
2015 | 11位/16チーム | 34 | 9 | 7 | 14 | 36 | 41 | 安楽健太(7) |
2014 | 12位/14チーム | 22 | 6 | 4 | 16 | 24 | 50 | 斎藤達也(7) |
2013 | 16位/18チーム | 30 | 8 | 6 | 20 | 40 | 56 | 木下真吾(6) |
2012 | 8位/17チーム | 43 | 11 | 10 | 11 | 53 | 52 | 菅原康太(17) |
2011 | 13位/18チーム | 38 | 11 | 5 | 17 | 43 | 65 | 半田武嗣(9) |
2010 | 11位/18チーム | 46 | 13 | 7 | 14 | 51 | 56 | 木下真吾 他(6) |
2009 | 8位/18チーム | 48 | 13 | 9 | 12 | 51 | 43 | 木下真吾(15) |
2008 | 14位/18チーム | 38 | 10 | 8 | 16 | 40 | 62 | アラン(9) |
今シーズンを振り返る
- 複数のベテランが引退
- 攻撃サッカーを標榜する大槻監督体制の3シーズン目突入
- 怪我人の続出
- 開幕3連敗
- 夏からの12連敗
今シーズンを語る上で欠かせないのがチームを長年支えてきたベテラン選手の引退ではないでしょうか。
チームの得点源として数シーズンチーム内得点王として活躍していた坂本一輝選手(野洲高校)、約10年間正GKとしてゴールマウスを守っていた永冨裕尚選手(福岡県出身)、また短期間ではあったが守備の要として活躍した内野貴志選手(野洲高校)など複数名が昨シーズン限りで引退しています。
変わりに大卒の若手選手を積極的に補強し、新陳代謝の活性化を図ったシーズンでした。
期待を胸に挑んだ開幕戦は今季J3の参入を決めた奈良クラブ。2021シーズンの開幕戦と同じカードとなった1戦はホームで敗戦。そこから開幕3連敗とスタートダッシュに失敗。
GW明けごろから3連勝して波に乗るかと思いきや、7月からまさかの連敗。そして9連敗したところで監督交代。
監督交代後も波に乗れず最終的に12連敗後にようやく勝ち点を得ることに。
今シーズンは怪我人も多くベストメンバーを組めない試合も多く、波に乗ることができなかった1年でした。
今シーズンの成績
会場 | 勝 | 分 | 負 | 得点 | 失点 |
---|---|---|---|---|---|
HOME | 3 | 2 | 10 | 9 | 24 |
AWAY | 2 | 4 | 9 | 11 | 33 |
合計 | 5 | 6 | 19 | 20 | 19 |
1点差 | 5 | ー | 8 | ー | ー |
無得点 | ー | 1 | 12 | ー | ー |
無失点 | 3 | 1 | ー | ー | ー |
- 得点数(21)及び1試合平均得点数(0.9)が過去最少であった。
- チーム内得点王の得点数が過去最少(3点)であった。
- 1試合平均失点数は2008シーズンに次ぐ最多失点(1.9)であった。
- 1点差で負けた試合が約4割の8試合であったことから、得点力があれば中位浮上も考えられた。
サポーターに伺ってみました
不調の要因はなんだと思いますか?
得点力不足はあるかと思います。 失点も多かったですし… なかなか波に乗り切れなかったかと思います。
私個人の印象としては、 怪我人が多くなかなかベストメンバーを組めなかったこと。 一部選手のコンディションが上がらなかったこと。 勝てなくなったときに、積極的でチャレンジングなプレーが減ったこと。 のように思います。
勢いに乗るきっかけというものがシーズン通してなかったようです。選手、クラブ、サポーター共に苦しく悔しいシーズンだったようです。
なんとか掴んだJFL。MIOの今後は?
MIOの今後についても触れておきます。
来季もJFLの所属が決まり安堵するMIO。
しかし、今後のビジョンを明確に描き前進する必要があると考えます。
なぜなら滋賀県にはJの参入基準を満たすスタジアムがないため、MIOを始め、滋賀のJリーグ参入を目指すクラブの参入見通しはたっていない状況だからです。
目標が示せない中でのクラブ経営は非常に難しく、スポンサー集め、選手・ファンの獲得、モチベーションなどに大きく関わってきます。
培った15年をさらに発展させるために政治家、行政、地域とともにビジョンを描く必要性は年々増しているように感じます。
一部報道ではJのクラブ数が制限されるという話もでてきている昨今、今後MIOやJ参入を目指している他のチームがどう進むべきか、全県あげて考えるべきタイミングではないでしょうか。選手、クラブ、サポーター、県民が夢に向かってサッカーを取組むために。
今後の滋賀県サッカー協会をはじめ関係者の動向に注目したいと思います。
話は戻りMIOについて、JFL参入から15年を迎える中、クラブが培ってきたものは確かにあります。
派手さはないが暖かみのあるクラブ
サポーターの皆さんにとってMIOって?
私にとってMIOは家族みたいなもんです。 選手たちはみんないい息子です。
滋賀に住んでるから滋賀のチームを応援って感じではなく、MIOだから好きになって応援したくなりました。
最初は選手達との距離の近さに驚きました。みんな優しくて楽しくて。Jリーグでは見られないことだったので。
頑張ってる選手達をもっともっと応援したいという気持ちになり、今に至ります。
MIOってそれほど目立つクラブではないですが、それでもトップの選手達も、U-15の選手達も、MIOを選んで来てくれて一生懸命頑張る姿に、いつも私も元気をもらっています。 自分の人生の中で、MIOは寄り添いながら一緒に歩んでいくような存在でしょうか。
約15年に亘り、地域に根ざした活動をされてきたからこそ、県内の強豪クラブである育成組織を始め、熱心なサポーター、スポンサーに今も支えられているのでしょうか。
来シーズンもサポーター、スポンサー等の後押しを受け、JFLで躍動するMIOが見れる事を期待したいと思います。
コメント一覧 (1件)
滋賀県のJリーグがないのは本当に悲しいです。滋賀県サッカー協会はリーダーシップがありません。
ミーオがJに行く為にはレイジェンドとの合併が望ましいです。
ファンが分散しているのが残念です。
スタジアムは彦根の競技場を使ってもいいと思います。
奈良にもJリーグができました。
ミーオと一生懸命切磋琢磨してきたチームです。FC大阪しかりです。
待っているのではなく、市民運動県民運動としてJリーグを目指すべきです。
心からそう思います。
滋賀県、一帯のチームを目指せばいいと思います。