2025年1月24日に「レイジェンド滋賀のチーム移管」という衝撃的なニュースが舞い込んできた。
レイジェンドは別法人にクラブの運営権を移管し、新たなクラブ名で継続活動されるようだが、移管先は奈良県でありレイジェンドとして、滋賀県として残るものはなさそうだ。
滋賀県サッカー協会がJリーグ入りを目指すとして2005年に立ち上げた「滋賀FC」。
滋賀FCの解散時に選手を引き受け、名称変更を行いながら16年間クラブを維持してこられた一般社団法人レイジェンド滋賀の山内代表に今回の話を聞いた。

年々増していくJリーグへの道のりの過酷さ
チーム移管に至った経緯を教えてください
昨年滋賀県で開催された全社でチームは残念ながら初戦敗退となりましたが、その後のトーナメントや地決の試合を観戦し、地域リーグとJFLのレベルが開いていると感じたんです。
JFLに元Jリーガーが増えていますからね
そうです。
J3との入れ替えによりJクラブがJFL,地域に降りてくる可能性があるので今後もレベルは上がっていくと思います。
またJFLに上がるのも大変ですが、昇格後も厳しい現実があるんです。
まず予算が小規模なクラブでは選手が揃えられない。それに登録料として1100万をシーズン開幕前に払わなければならない。
正直、チーム予算の大部分を登録料が占めると考えた時、現状では上でやる道筋がそう簡単には立てられないかなと思っていました。
そのような思いを持ちつつ上を目指して頑張っていた中で、今年の地決で飛鳥FCが勝ち上がりました。
飛鳥の躍進は驚きでしたね
福井ユナイテッドやVONDS市原など長年地域リーグで上を目指しているチームは勝ち上がれず、飛鳥FCがとんとん拍子で上に上がったじゃないですか。
本当に勝ち続けることの難しさを感じましたよ。関西リーグもアルテリーヴォやHARIMAが有力とみていた中、優勝されたことも驚きだったのに。
逆にまぁそれを観て決心がつきましたね。
引く決心ということでしょうか
もちろんここまでやってきた思いはあります。なんとか滋賀からと…
ただ、これから(Jリーグ入りに向けて)アクセルを踏まなければならないと思うと、滋賀県の現状を含めてハードルが高いと思いました。
滋賀FCを引き受けてから16年、関西リーグでの戦い、選手の雇用斡旋、住居紹介含め色々なトップチームに関わること、またアカデミー(U-15,U-12)など、様々なことに尽力してきました。
しかしながらここ数年残留争いのシーズンが続き、更に上を目指すアクセルが踏めなかったのが正直なところです。
また滋賀でJリーグを目指すチームが複数あるのは難しいなとも感じていましたね。
奈良が上がり、高知も上がりJリーグ不在県が減ってきましたね
まずはJリーグチームを作るために滋賀が一つにならないといけないなと。
Jクラブの誕生後は他にJを目指すチームがあっても良いとは思いますが、とりあえず1チームを作らないと。
なのでレイラック滋賀とヴィアベンテン、守山侍には頑張ってもらいたいですね。苦労がわかるからこそ応援しています。
強くしたいと願ったチームは京都サンガと試合ができるまでに
そもそも滋賀FCの解散時、なぜ山内さんが引き受けたのでしょうか
自分が所属していた東レのチームを強くしたいという思いを持っていたというのがきっかけですね。
そこで滋賀FCの解散の話が出て、また東レの関係会社である東洋実業の事業拡大の話もあり、これらをマッチングさせれば滋賀FCの選手の受け皿になり強くなるのではと思ったからです。
滋賀FCの選手は国体で一緒にやっていたりと知っている顔が多かったからね。

当時は山内さんも現役だったと聞いています。引き受けた時、ここまでクラブ経営に携わると思っていましたか?
正直全然思ってなかったですよ。(笑)
(滋賀FC解散後の)16年間を振り返るといかがですか
MIOびわこ滋賀(草津)としのぎを削っていた頃は印象に強く残っていますね。
また2016年頃は意地になっていた記憶があります。赤字でもやってやる!と。
最近だったら地元開催の全社(2024年開催の第60回全国社会人サッカー選手権は滋賀県開催だった。)に出られたことや、ビッグレイクで1500人が見守る中で京都サンガF.Cと試合が出来たのが嬉しかったですね。
移管までの経緯を教えてください。関西1部のステータスを魅力に感じるクラブは多いと思います。県内のチームに移管するという選択はなかったのでしょうか。
県内を含め5クラブと協議しました。
もちろん県内のチームを優先に、更には県外のチームを運営する会社に対して滋賀でやってもらえないかなど考えて動いていました。
しかし、地域1部リーグで戦うことの運営面のハードルや、また運営面で借入もありなかなか話がまとまるチームが少なかったのが現状です。
地域1部リーグで戦うとなるとクラブの規模も必要なのでしょうか
クラブとしての基礎がなければ関西で戦うのは難しいです。これは戦力面だけではありません。
地域りーぐとしては運営委員、実行委員などスタッフも多く出さなければならず、チームに尽くしてくれるスタッフや選手が多く必要になります。
移管先が県外になることに関して県協会から止められたりはしなかったのでしょうか
クラブの現状を含め説明には行かせていただきましたが、県協会からは止められはしなかったです。
次なる願いはJリーガーや後の日本代表の育成
今後はジュニアユースとジュニアに専念されるのでしょうか
そうですね。育成に特化したいと思います。
ただ関西リーグの運営委員(Div1の運営責任者)も引き続き努めさせていただく予定です。
それは卒業できないんですね
長年関西リーグで戦わせていただきお世話になりましたので、引き続き第3者の立場から関西リーグを盛り上げたいと思います。
実はその他にも3種委員やトレセン活動のスタッフなどの仕事も色々しているんですよ。
それは忙しいですね。役員はどのような業務があるんですか
試合のグラウンドを確保したりリーグ日程を決めたりと、色々ですね。
正直なことを言えば1種に関わりながらも3種、4種のことも把握できるので勉強になっていましたね。
現場での活動は3種4種に集中できます。育成部門の展望をお聞かせください。
のちのJリーガーや日本代表を育成したいですね。
そのためにレイジェンドではどのような育成方針を掲げますか
選手のサッカーIQを高めていきたいと思います。
なぜですか
状況判断や、指示の実行などサッカーでは絶えず考える必要があります。
自分が選手の時代は怒られて半ば半強制的に指示を実行させられるような時代でしたが、今は時代が変わり選手を怒れません。怒っても・・・って感じです。
そうなるとやはり今の選手には一定考える力が必要になります。
あるJクラブの育成部門も偏差値を考慮すると聞いたことがあります。
まあ勉強は大事ですしね。サッカーを頑張ってきても成績が足りず推薦で志望校に行けないという話もよくあります。
なのでレイジェンドでU15は今年度から進路を逆算して1年生から3者面談を行うようになりました。勉強は疎かにできない選手もいるので。
最後にレイジェンド滋賀のトップチームのファンやサポーターに一言ありますか。
ビッグレイクの最終試合(アストエンジcup)では、昔から応援してくださっている方も試合に駆けつけてくださいました。
今はいない選手の横断幕を掲げられたメッセージはこちらも受け取っています。また厳しいご意見もいただきました。ただサッカー協会を跨ぐ話だったので話をオープンにできなかったのです。
滋賀FC時代から熱心に応援してくださって感謝です。それしかありません。
あとは、新チームのVELAGO生駒は2025シーズン、ビッグレイクで試合を行う機会が多くなると思います。数名はレイジェンドからヴェラーゴに移りますので、その選手を応援いただきたいと思います。