草津東高校 VS 近江高校マッチレポート【第101回全国高校サッカー選手権大会滋賀県大会高 決勝】

目次

決勝は夏の総体予選と同一カードに

第101回全国高校サッカー選手権大会滋賀県大会の決勝は、2年連続13回目の出場を目指す滋賀県立草津東高等学校と、2年ぶり2回目の全国大会出場を目指す私立近江高校の一戦になりました。

今年の夏に開催されたインターハイの予選決勝でも両校は対戦しており、その試合は草津東高校がPK戦を制し優勝しています。

草津東が県内2冠を達成するのか、それとも近江が夏の雪辱を晴らすのか注目です。

両校のフォーメーションと出身チームの紹介

近江は準決勝と同じメンバーの3-6-1です。対する草津東はこれまでのシステム(4-4-2)から4-5-1(4-1-4-1)に変えてきました。

近江対策ということで近江のボランチ、バックラインにしっかりとプレッシャーをかけ正確なビルドアップを防ぐ狙いだったのでしょうか。

決勝戦のフォーメーション

両校のスターティングイレブンは次のとおりです。

草津東は準決勝のメンバーからGKと中盤1枚を入れ替えています。あまり上背がない近江の前線を意識して、俊敏性が高くコーチングに定評なGKに変更されています。また、中盤はより守備的な選手を入れてきました。

一方近江のメンバーに変更はありません。

近江スタメン

秋晴れの絶好のサッカー日和の中、決勝がキックオフ

近江ボールでキックオフ。キックオフ間も無く近江にチャンスが訪れます。

前半1分 草津東 0-1 近江

近江先制点

6番高崎のロングボールにセンターバックとサイドバックの間に抜け出した9番迎。

GK福田が出足よく飛び出しましたが9番が一瞬早くボールに触れ、優しいタッチのダイレクトシュートでGKをかわし先制。

9番の動き出しと絶妙なボールコントロールで近江は幸先よく先制しました。草津東は準決勝に続き開始早々の失点です。

先制後も近江ペース

失点後すぐに草津東も反撃。

前半3分、草津東8番竹下がセンターライン付近からロングスローで前線に送る。18番権田が抜け出しシュートまで持ち込むが近江3番西村が体を投げ出しブロック。

一瞬の隙をついて草津東もチャンスを作りますが、その後は近江のペースで試合は続きます。

前半12分、14番山門のスルーパスで裏に抜け出した2番金山がマークの選手と体を入れ替えトラップ。接触でバランスを崩した2番は後ろから走り込んできた9番迎に下げ、迎がエリア外から右足を振り抜く。しかしボールはゴール左に外れる。

ボールを保持しチャンスを自ら作る近江。2番金山と7番鵜戸が両ワイドに開き高いポジショニングをとるため、マークしている草津東6番渡邊と8番竹下がバックラインに吸収され6バックの形に。

草津東の近江対策が功を奏するか

しかし、相手にボールを握らせながら一瞬の隙をつこうとする草津東も狙いの形を作ります。

前半14分、センターライン付近からのFK。キッカーは草津東6番の渡邊。綺麗な弧を描いたFKは近江DFの裏まで抜け2番山本に。2番ががいい位置にトラップしシュートするも近江DFが体を投げ出しブロック。

この日の草津東は前線3枚に高さがあることから、早い段階で前線の頭を狙ったロングボールを放り込みます。

草津東に流れが傾いたかと思った矢先、近江がカウンターでチャンスを作ります。

前半22分に草津東のボランチに近江が2枚でプレッシャーをかけ、こぼたボールを9番迎が拾う。そのまま右サイドに張っていた11番岡田に繋げる。11番が持ち込みシュートするも草津東2番山本がナイスブロック。

一進一退の攻防が続く中、草津東が狙い通りの形を作ります。

退いた草津東に対して、近江6番長滝谷が草津東陣地でドリブルで持ち上がる。10番河合がサイドに追いやりながらボールを押し出す。8番竹下が拾い、約50メートルほどドリブルで駆け上がる。近江ディフェンス陣も懸命に戻り、最後はCKに。中を固めてサイドで狩り、カウンターに持ち込むという草津東の狙いがでた場面でした。

近江にビックチャンスが

近江チャンス

しかしその1分後、近江がビックチャンスを作ります。ゴールキックのこぼれ球を2番金山が拾い14番山門に預け、ワンツーで2番に返します。DFの間で受けた2番は中に切れ込みマイナス方向にパス。

これを14番がスルーし、最後は10番川島。川島のシュートは草津東のブロックにより惜しくも外れますが久しぶりのビックチャンスでした。

草津東の両サイドがバックラインに入りサイドを潰しますが、薄くなった中央をうまく使われます。また14番、7番のシャドーを捕まえるためサイドバックが前に飛び出ることで空いたスペースをうまく使われているようです。

後半30分 草津東 0-2 近江

近江追加点

10番川島がバックラインに入りビルドアップに参加。10番からパスを受けた5番長滝谷が前線にロングボールを供給。9番迎が14番山門に落とし、14番は中央に走り込んだ10番に繋ぐ。

10番はスピードに乗りエリア付近までドリブルで持ち込みCB2枚を引きつけ右サイドにスルーパス。待ち受けた7番に通りそのままシュート。7番のシュートはGK福田が好反応を見せセーブするもこぼれ球を11番岡田がつめました。

2失点後は草津東のペースに

その後は草津東が押し込むもシュートまで持ち込めません。

しかし、近江のバックラインを下げては前線からプレッシャーをかけ、押し込む時間が続きます

前半35分、草津東9番河野がチャンスメイク。

センターライン付近から個人技でエリア近くまで持ち込み、右サイドに開いた18番権田に流す。それを18番なダイレクトで折り返し、エリアに入ってきた9番がヘッド。惜しくも枠を外れましたが、少ない枚数でチャンスを作りました。

その後は両者得点なく前半終了。

後半開始

両校ともメンバーチェンジはなく後半へ。

後半序盤は草津東のペースで試合を進めます。

前半は低い位置にポジションをとっていた両サイドが高い位置をとるようになり、反対に近江のWBを押し下げます。それにより両サイドにパスが回る機会が増えいいリズムが生まれます。

しかし、近江は草津東に流れを持って行かせません。

後半15分 草津東 0-3 近江

近江3点目

4番岡根、6番長滝川、7番鵜戸とつなぎ、7番が右サイドをえぐった後、中央に速いクロスを上げる。それを9番迎がニアで触りボールの角度を変えて追加点を奪いました。

この試合、草津東の近江対策が効いていいたのか、なかなか近江の両サイドに仕事をさせていませんでしたが、7番と9番の個人技で点が生まれる形に。

近江GKが退場に

後半21分、草津東ベンチが動きます。

23番の村田に変えて、7番の伊藤(セゾン)が入ります。これによって4-5-1から近江と同じ3-6-1に変わります。

後半25分、試合が動きます。

草津東13番小楠が右サイドの9番河野にスルーパスを送ります。近江GK小島が出足よく飛び出しスライディングでクリアを図ります。しかしエリア外で9番がわずかに先に触れ、GKの残った足で転倒。

決定的なシーンをファールで止めたとしてこのプレーにレッドカードが提示されます。

近江ベンチはシャドーの14番山門に変えて1番GK野村を投入します。近江は残り時間20分程度を10人で戦う形になりました。

またしても近江ベンチが動きます。後半29分、足の攣った近江9番迎に変えて8番朧谷(カナリーニョ)を投入。

流れを引き寄せられるか草津東

その後は草津東がボールを保持する時間が増えますが、なかなか決定的なチャンスが作れません。

6番渡邊のアーリークロスを8番竹下がヘッドも大きく外れます。

また草津東は数的有利の状況でも狙いは変えず、ロングボールを放り込みます。しかし、近江は単純に跳ね返すのではなくしっかりクリアをマイボールにするため、なかなか前線で起点が作れません。

一方近江は数的不利な状況にも関わらずしっかりとポゼッションを行います。

後半40分 草津東 0-4 近江

そんな中、近江に試合を決める追加点。10番川島が中央をドリブルで持ち込み左サイドの2番金山にパス。このパスを途中、草津東DFがスライディングでカット。しかしこぼれ球を10番がすかさず拾い、エリア内に持ち込み右足一閃。試合が決します。

その後両校とも選手交代を挟み、アディッショナルタイムに突入。

後半45分 草津東 1-4 近江

アディショナルタイムこのまま試合が終わるかと思われた中、草津東が一矢を報います。

近江のエリア付近でスローインを獲得。これまでロングスローを投げ続けていた6番渡邊はロングスローではなく近くの7番伊藤にスローイン。7番は右サイドをえぐりゴール前にクロス。クラスは4番篠原の頭にドンビシャ。ヘディングシュートで得点します。

この一点は近江の無失点優勝を防ぐ一点となりました。

その後再会のキックオフしてしばらく経ったあと、タイムアップ。前回王者を圧倒した近江が2年ぶり2回目の優勝を決めました。

勝手に総括

  • この試合近江は、サイドを起点とするのではなく、中央のシャドー2人の動き出しによって、DFラインにギャップを作り、そこに正確なロングボールを入れていました。また、草津東のカウンターにも全員が素早く戻り、攻守の切り替えから意識の高さが伺えたところです。スコア通り攻守で圧倒して優勝を決めました。
  • 一方の敗れた草津東ですが、近江対策の効果でしょうか準決勝と比べて近江の両サイドが目立つ時間が少なかったように感じます。しかし中央の選手を捕まえる役割がはっきりせずに、DFが釣り出されることもありました。また攻撃はロングボールを前線が収められても前線に上がる枚数が少なく、攻撃が単発に終わっていたように感じました。

優勝した近江、最後までフェアプレーで戦い抜いた草津東の選手に拍手を

優勝した近江も決して楽な試合ではなく、足をつる選手が複数出るぐらい必死に走っていました。技術ばかりに目が行きますが、勝利を渇望し貪欲にボールを追いかける姿からサッカーに対する本気が伝わってきました。改めて優勝おめでとうございます!

また敗れた草津東も最後まで諦めず、ゴールを目指す様子は見ていて応援したくなる姿でした。次のステージでも頑張ってください!応援しています!

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