全国大会3試合目の準々決勝(対神村学園)、ようやく近江らしい試合が観れた。前2試合は勝ったものの、硬さや相手の対策もあり近江らしいサッカーがあまり見れなかった。
そんな中、1月4日に迎えた準々決勝で近江高校のサッカーの面白さを全国のサッカーファンに見ていただけたことに、喜びを感じた人は多いのではないだろうか。
近江高校のサッカーとは
さて、近江のサッカーとはどのようなものだろうか。以前、前田監督に話を伺った際に聞いた言葉で印象的だった言葉がある。
「うちは戦術練習はしていない。グループ形成、グルーピングに力を入れている。」
自身は指導者ではないため戦術論はファンの域を越えないが、このグループという単語が近江のサッカーを知るのに大事なキーワードだと考えている。
ドリブルで潰されてもすぐに仲間がフォロー、抜かれてもすぐにカバー、密接した距離でパスを交換。近江サッカーを見ていると11人のチームは3、4人の小さなグループの集合体だと感じる時がしばしばある。
神村学園戦の振り返り
タレント軍団相手になぜ近江らしさが出たのか
2回戦、3回戦は相手の高い位置のプレス、特にDFラインへのハイプレッシャーに苦しみ、ビルドアップが窮屈だった。
DFラインで5番西村選手や10番金山選手にボールが渡った時はプレッシャーの迫力が増したため、良質なボールが前線に遅れず、攻撃のリズムが生まれない。
これにより前線の選手が良い状態でボールを受けれず、相手のプレスに引っかかる場面が多く見受けられていた。
しかし、準々決勝は神村学園が横綱相撲をしてくれたお陰か、相手のプレスの位置は低く、DFラインが余裕を持ってボールを持つことができ、前2試合ではあまり見ることのできなかったスムーズなビルドアップが多く見られた。
これにより前線の選手がいい状態でボールを受けることができ、各選手の強みや連動性が出て、厚みのある攻撃を続けることができた。
試合経過を振り返る
グループで守り抜いた前半戦
序盤は受け身に回ることが多かったが、カウンターから左サイド14番浅井選手のクロスをファーに走り込んだ7番鵜戸選手がうまくボレーで合わせ先制。
先制後は神村学園の個の能力に圧倒され、防戦の時間が増える。グループでボールを奪うも、奪う位置が自陣深く、すぐにプレスにハマる悪循環となった。
また荒砂選手のアクシデントがあり、普段は後半途中に切っていたカード、山本選手を前半中盤に投入。監督のゲームプラン通りにゲーム展開が進まない。しかし、チーム一丸となって身体を張り集中し耐える。
逆転を許したもののそれ以上の追加点は与えず前半を折り返すことに。
選手交代により選手が躍動した後半
後半、早速前田監督が動く、右サイドバックの安田選手にかえて川地選手を投入。すると後半は近江の選手が躍動した。
ボールを奪う位置が高くなったことで攻撃への移り変わりが早く、また神村学園の前線からのプレスが前半と比べて緩くなったことから、DFラインからのビルドアップがスムーズになる。
特にCB5番西村選手のキックの精度が戻り、両サイドや前線にボールを散らすことができたことから、10番金山選手が高い位置でポジションを取れ攻撃にリズムできる。
前半と打って変わり終始相手を押し込み、前線の選手の特徴が存分にでうrそれぞれの特徴が出される。また、後半途中で廣瀬選手を投入し金山選手を一列前に上げてからは一層押し込み、同点弾や逆転弾が生まれた。
準決勝の対戦相手(堀越学園)って?見所を解説
堀越学園のフォーメーションは4-3-3だが、臨機応変に4-1-4-1に可変する。
滋賀県のサッカーファンは聞き馴染みのあるボトムアップ方式をとっており、分析やゲームプラン等は選手たちで決める。つまり、考えて動き個々の柔軟性が高いのが特徴。(過去、滋賀県の綾羽高校がボトムアップを実践し、予選を勝ち抜き全国大会への切符を掴んだことも)
サッカーはバックラインからしっかり繋いでゴールを目指すが、動き出しの良い9番高谷選手や、右サイドの10番中村選手がアクセントをつける。
次戦の見所を2つ上げたい。まずは10番のエース対決。
堀越の10番中村選手は前線の右サイドで、近江の左CBの金山選手とマッチアップする機会がある。両選手とも得点に絡むプレーが得意なだけ、両エースの主導権争いに注目したい。
次にCB対決。堀越の2年生CB4番森選手は対人やカバー能力が高く、ビルドアップの起点にもなるまさに攻守の要(オールラウンダー)であり、近江高校の5番CB西村と特徴が似ている。同じCBで攻守の要でもある両選手の出来に注目したい。
以上、文字ばかりで読みにくかったと思うが、乾貴士選手が所属しセクシーフットボールで全国を制した2005年度以来となる滋賀県勢の国立。細かいことや専門的なことは置いておき、純粋に選手の頑張っている姿を応援したいと思う。
堀越学園との準決勝は1月6日(土)14時20分キックオフ!