岡山学芸館高校サッカー部 平塚仁選手インタビュー|第102回全国高校サッカー選手権大会

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琵琶湖の鮎は外に出て大きくなる

【琵琶湖の鮎は外に出て大きくなる】とは、琵琶湖を離れ全国各地へ放流されたあとに川で大きく成長する鮎と同じく、滋賀の人間も外に出ることで成長するという意味で使われる言葉で近江商人を象徴する言葉です。

自身の夢のため若くして親元を離れサッカーに向き合う滋賀出身選手の今を追います。県内で頑張る同年代の選手の刺激に、中学生で進路を検討する際の参考していただければ。

第2回目は前回大会の優勝校

岡山学芸館サッカー部ロゴ

前回大会で初優勝を飾り、今年の第102回全国高校サッカー選手権大会岡山県大会でも無失点で優勝を決めた岡山学芸館高校。

昨年の大会でチームを救うセーブを幾度となく披露し優勝に貢献、ハイボールやシュートストップ、ロングキックの正確性に注目が集まった華のあるGK(ゴールキーパー)に取材しました。

岡山で活躍する滋賀県出身選手とは

平塚仁(ひらつか じん)選手

・所属:岡山学芸館高校 現3年生(2005年生まれ)
・出身地:大津市
・ポジション:GK
・出身チーム:アミティエSC草津-MIOびわこ滋賀U-15

取材内容(Zoom)

ZOOM取材の様子

MIOびわこ滋賀U-15で積み上げたもの

上手くなるためにMIOを選択

ーよろしくお願いします。中学時代はMIOびわこ滋賀U-15(以下、MIO)に所属されていました。なぜMIOを選んだのでしょうか。

(平塚選手)滋賀で一番強いのはMIOというイメージがあったので。とりあえず上手くなるためにはここでやっていくのがベストだと思い入りました。

ー小学生の時にフィールドプレーヤーからGKに転向したようですが、なぜ転向を。

小学3年生まではフィールドでやっていましたが、4年生からGKがいなくなったんで。自分がやろうと手をあげました。

ー中学時代はキャッチングの練習を重点的にやっていたと聞きました。MIOのキーパー練習はキャッチングを重視するのが特徴ですか。

特徴という特徴はなく、一般的なキーパー練習と同じくだと思います。自分は小学校の時にキーパーコーチがいなくキーパー練習をやることがありませんでした。

中学に入ったら他の選手より劣っていて、手投げのボールもキャッチできないぐらいでした。(笑)一人だけおかしな状況だったので、基礎的な練習を一からやってもらったのが印象です。

ーそれでもセレクションのあるMIOに入れるということは当時もGKとしてはそれなりのレベルだったのでは。

いえ。聞いた話によると、入る予定のGKが入らなかったので自分が入れたようです。

中学で身長が30センチ伸びましたが、小学生の時は身体が小さくて身体能力だけでプレーしていました。なので(落ちる可能性もあったので)MIOに入れなかった時のことも考えていましたね。

競い合うライバルの存在

ーMIOでは同じGKの塚田選手(立正大淞南高校)とハイレベルなポジション争いをしていたと聞いています。塚田選手ってどんな選手でした。

8:2ぐらいで塚田選手の方が多く試合に出ていました。

自分の中では技術的にも勝っていたと思っていて、サイズもあるしなんで出られへんのやろうと思っていましたが、高校になって今の視点で考えると、(塚田選手は)副キャプテンもやっていてリーダーシップもあり、チームからの信頼も塚田選手の方があったので、塚田選手が評価されていたんだと思います。その部分はGKとして重要ですし。

ーしっかり自分と他者を見られていますね。プリンスリーグ四国でも立正大淞南(島根県)の塚田選手と顔を合わせることがあると思いますが、やはり意識はしますか

そうですね。中学時代負けていたという意味では、試合をする時は絶対負けたくないと思いますし、失点数を競い合いたくなる相手です。

ー現MIOのGKはナショナルトレセンに選ばれる選手がおり、GKの育成が充実しているように感じます。当時の練習やコーチはいかがでしたか。

厳しかったです。(笑)自分はひどくキャッチができなかったので。

MIOのGKコーチは、GKに必要な能力をバランスよくつけてくれます。

中学サッカーは繋いで崩すサッカーが多くハイボールへの対応を伸ばさなくても良いですが、高校サッカーはパワープレーとか色んなサッカーががあり、ハイボールの対応がしっかりできていないとすぐに失点してしまいます。

当時のMIOは(自分が苦手だったということもあり)ハイボールの練習が多くて、今思うと高校年代で必要になる能力を確実につけてくれた印象があります。

苦手だったハイボールの対応が高校では武器に

明確な狙いを持って選択した進路

ー進学先に学芸館を選んだ理由は

中学の時に高校サッカー選手権を見ていると学芸館が岡山県代表で3年連続ぐらい出場していて、勢いをつけている高校だと思いました。全国大会に出ないと、なかなか自分を(様々な人に)見てもらえる機会が少ないと思い、どちらかと言うと全国に出やすい高校を選びました。自分を見てもらおうと思って。

学芸館は環境が良く、グラウンドの横に寮が整備されており、グラウンドもトレーニングルームも最近できましたので、環境の良さで決めましたね。

ー岡山学芸館は進学校ですが、サッカー部も勉強を求められますか。

文武両道を結構厳しく言われていまして、授業中の態度やテストの点が悪かったりしたら監督の耳に入り、サッカーをさせてもらえません。

夏休みや冬休みは全員参加の補修があり、サッカー部だから免除とかもないため、補修を出てから練習するなど結構忙しいです。

自分と相手を知った上での表現方法

ー全国に出たいから選んだ高校。実際に入部して抱いた印象は。

中学の時は自分がうまいと勘違いしていました。1年からレギュラーを獲るという意気込みで入りましたが、上級生は身体もできており技術も高く、すぐに現実を見させられました。

ーいつからAに入り試合に絡み出しましたか。

2年生に上がる頃ですね。ただ1つ上のGKもレベルが高く、自分は出たり出なかったり。サブに回ることが多かったです。

ーポジションを奪うためにどのようなことをしましたか。

先輩の苦手とするプレーをしっかり把握し、自分はそのプレー(先輩が苦手なプレー)を対応できるということを紅白戦などでしっかりアピールするよう心がけていました

ー相手をしっかり見た中で自分のストロングポイントをしっかり表現するのは凄いですね。ハイボールは高校入学後も重点的に練習したのですか。

中学の時にハイボールは自分の武器になりました。空中感覚や空間認知が周りより差がある(秀でている)と感じていて、武器になると思いました。

高校で筋力が上がり身体もでき、上手く(身体を)扱えない時もありましたが、そこは自分なりに調整して高校でもハイボールを武器にできています。

ー前回の選手権でもロングフィードなどのキックに注目がいっていましたが。ハイボールの対応の方が得意ですか。

自分の中ではハイボールやシュートストップに特徴を持っていきたいのですが、周りと比較した時、キックの方が光るものがあるのかもしれません。

ーキックは昔から得意ですか。それとも高校で身についたものですか。

小学校の頃から蹴れていましたね。

ー学芸館の試合ではバックラインまで上がり、攻撃の起点になっています。昔から前に出るのも怖がらないタイプでしたか。

いえ、中学生の頃は戦術的なところは理解していなかったので高校に入ってからです。

自分がセンターバックの間に入って、アンカーみたいな感じで顔を出したらキックが生かせると思い取り組み始めました。

更なる飛躍のきっかけになる高校選抜

ー前回の選手権では活躍され高校選抜に入りましたが。選抜はいかがでしたか。

自分が思っているエリートの選手たちが集まっていて、その中で自分を表現するというのは難しいと感じていたのですが、実際練習してみるとキックとか周りに劣っていなかったので自信になりました。

自分がリスペクトしすぎている部分があって、自分が手に届かない場所ではないんだと感じました。

ーキックの武器を改めて感じた機会でもあったんですね。

年代別代表のGKもいてワクワクしながら見ていました。自分の中で代表のGKは何でも止めるイメージを持っていましたが、タイミングずらされたシュートなど止められないボールもあり、トップレベルでも人間は人間やなと思いました。

希望が出たというか上を目指すきっかけになりましたね。

ー最後に連覇を目指す初戦の相手は尚志高校(福島県代表)強豪ですがどのように迎えますか。

2連覇を目指すに当たって、残り少ない期間でどれだけ100パーセントに持っていけるか、今ある練習を1日1日大事にしようと思います。

最後の大会悔いの残らないよう、周りで支えていただけた方に恩返しができうように、自分たちがやるべきことは選手権で結果を残すだけです。

岡山学芸館高校の初戦の相手は尚志高校(福島県代表)で、12月31日14時10分キックオフです‼️

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