〜夢掴むまで挑戦〜MIOびわこ滋賀U-15の挑戦史|夘田貴之監督インタビュー(後編)

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夘田貴之監督インタビュー後編

滋賀のU-15強豪街クラブのMIOびわこ滋賀U-15の夘田監督にクラブの転機や育成についてお話しいただきました。

インタビューは2回の記事に分けています。(前編はこちらから)

初の全国大会出場。そしてサンライズリーグの昇格・定着へ

ー強くなった転機は2017年のサンライズリーグへの昇格でしょうか

今の流れが出来たのは2015年ですかね。高円宮杯で初めて全国に出たんですよ。

それまでクラセン(クラブユース選手権)の関西大会は何度も経験していましたが1回勝てればいいぐらいでしたが、その年に高円宮杯滋賀県大会で優勝し、関西大会で準優勝しました。高円宮杯の県リーグ戦は3位でしたが。(笑)

ー昨年高円宮杯関西プレーオフでLASTA.FCの躍進(ベスト4)に驚きましたが、準優勝は凄いですね

準決勝の相手がヴィッセル神戸で2-1で勝ち、決勝はガンバ大阪に力負けしましたが関西4位(1位と2位はサンライズリーグ)で全国に出ました。山田祐樹(元FC大阪)がいた時です。

ちなみに全国では1回戦で現日本代表の中村敬斗選手が所属する三菱養和SC巣鴨に勝利したが続く2回戦で菅原由勢選手が所属する名古屋グランパスに敗れました。

ー全国大会を経験したことが転機だったと

やはりJの下部組織と真剣勝負できたのは大きいです。高いレベルを相手に真剣勝負をして、接戦で勝つという経験はチームを成長させてくれます。

ーでもチームは年単位で変わります。その経験をどのように

全国や関西の舞台にスタッフが慣れるということも重要です。

土地勘も無くレギュレーションも慣れていなければ、スタッフが試合に集中できません。その意味でクラセンベスト8に入った年は、前年に帯広(クラブユース選手権U-15の会場地である北海道帯広市)を経験していたことが大きかったかもしれません。

ー高いレベルの相手と本気の勝負。サンライズで得られるものは大きいですか。

サンライズリーグは本当に成長できます。強度などは滋賀では味わえないものがあります。常に1点を争うゲームが年間で22試合もある。ひりひりする試合展開が毎月ある、これが何より大きいなと

サンライズリーグのような舞台で試合することは、立ち上げからは想像できていなかったです。

ーどういうことでしょうか。

チームの立ち上げからのミッションは、地域の青少年育成の貢献ですから。18年前からしたら今のチーム像は全く想像していません。

ーでも今や強さを理由に選ばれるクラブになっていますよね。卒業生にMIOの入団理由を聞くと強いから入ったと言う選手が多いです。

選んでもらえるのはありがたいことです。レベルの高いカテゴリーでやらしてもらっていて、人工芝グラウンドを常時使えるという環境面の利点もあるのかな。

セレクションは一発逆転の場

ー多くの子がセレクションを受けると思いますがどのようなところを見ているのですか

昨年はありがたいことに過去最多の160名に参加いただきました。1次で半分に絞り、2次で35名を決めました。

誰が見ても上手いような基礎技術の高さとかはもちろん重要ですが、この子もしかしたらという子を探しています

悪いところではなく良いところを見るように心がけています。

ー短い時間で多くの子を見るのは非常に難しいですよね

Jのアカデミーであれば4次、5次までなど長時間受験生を見ます。しかし街クラブでは保護者の負担等もあるためそこまで時間をかけられません。

セレクションは合否によって子どもの人生が変わると思いながら見ています。

ー県トレばかり集めているという噂も聞きますが

もちろん事前情報としてトレセン歴は見ますが、それだけでは決まりません。正直なところ、その日(セレクション)で良かった子を取ります。

セレクションは一発逆転できる場所なので、スタッフ陣はそこで目立て!どんなことでも良いのでスタッフを惹きつけろ!と思いますね。

ー逆にどのような子に来て欲しいですか。

サッカーが好きで、MIOで頑張りたいという思いを持つ子ですね。

ー県のトップを走るクラブの監督さんはもっとギラギラしている方だと思っていました笑

よく言われます。笑

いやでも、県のレベルを上げるためにもサンライズから落ちたらあかんとは思っています。

個々の選手に寄り添った指導

ーしかしSNSを見てても上手い子が増えましたね。ジュニアのレベルも上がっていますか

技術レベルは格段に上がっていますが、技術レベルが上がったことで個性や武器がみえにくいと感じます。

というより武器を持っているけどその武器を自覚していないことや力の出し方がわからないのか。

なので中学3年間で個人のベースアップに加えて自分の武器を引き出すこと、またどのようなプレーが武器を引き出せるかを獲得させてあげたいと思っています。

ー昨年MIOの1、2年生のGKがナショナルトレセンに選ばれました。また、OBの平塚選手の活躍などからGKの育成レベルは高い印象を持っています。GKの育成が目立ちますがこだわりなどあるのでしょうか。

特別なことはしていません。選手の努力が1番でしょうね。ただ、うちはGKコーチが1人いますがもう一人トレセンのGKコーチをしているスタッフいます。

普段はフィールドプレーヤーを見ていますが、GKコーチが不在の時にはそのスタッフが見るなど、常時1名のGKコーチがいることが特徴です。

GKやっている子は特に練習環境でチームを選ぶ印象があります。うちの練習環境が良いので選んでもらってるのではないでしょうか。

ー指導にあたり大切にしていることはなんでしょうか

一流のサッカー選手は人間性も一流であると日ごろから選手たちに伝えています。サッカーだけではなく生活面も中学生らしくしっかりできるように指導しています。

ー選手の個性を大事にしているという記事を拝見しました。選手の強みを見つける・伸ばす工夫はありますか。

日頃の行いや振る舞いなどを見て、その選手のことをわかってあげることではないでしょうか。

あとは本人が自分のストロングをわかっているか?ストロングを明確にしてあげること(いい意味でのせちゃう)ですね。

ー具体的に指導の際に意識していることを教えてください。

それぞれ個性の違う選手に対してどのような声掛けを、どのようなタイミングでどのようにかけるか、これすごく大切だと思っています。何かやろうとしているとき、悩んでるとき、上手くいってないとき。

良い声掛けができれば一気に成長していくと思います。

ニュートラルな人物

県のトップを走るチームの監督はどんな方だろう。上昇志向、理論派、気難しい、などなど勝手なイメージを膨らませて訪れたが、実際会うと自然体な人で、どんな質問にも応えてくれそうな懐の深さを感じた。

指導者も人間。様々な経験をしている大人であっても、時には感情に抗えず声を荒げたりするのは仕方がないものだと思う。

夘田監督の言う、それぞれの選手に適切な場面で、適切な言葉をかける声かけは一見簡単そうに見えるが、非常に難しいことだろう。気取らず、飾らない性格だからこそ、それができるのかもしれない。

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