シガラボを立ち上げた2022年シーズン。滋賀の高校サッカーは、草津東高校の1強と言われていた。
なぜなら、この年に最高学年となる県内タレントの多くが草津東高校に進学していたからだ。それは、他校のサッカー部指導者でさえ草津東の戦力を羨むほど。
その結果はご存知の通り、インターハイは全国に進んだものの初戦の市立船橋高校戦(千葉県代表)は大差で敗れる。また冬の選手権では県予選決勝で近江高校に完敗し、不完全燃焼な形でシーズンが終了。
外野でさえこのように感じるだから、当事者であった選手たちはもっと思うところがあるだろう。ということで、草津東のタレント集団に取材を敢行。
JR琵琶湖線草津駅を下車し徒歩10分の距離にある滋賀県立草津東高校を訪問。
草津東高校は県内唯一、体育科を設置しており、サッカー部のほかバスケットボールやバレーボール、剣道などが強豪で部活動が盛ん。なお、水泳部も活躍しており卒業生には東京オリンピック金メダリストの大橋悠依選手などがいる。
今回取材に応じてくれたのは5人。この5人に昨シーズンをはじめ草津東での3年間を振り返っていただくとともに、中学時代や将来についてなど、多岐にわたる内容を聞いてきた。
まずは校内での取材を許可していただいた学校長様や教頭様に感謝したい。
草津東での3年間を振り返って
ーーどのような3年間でしたか。
河合 高校生活はコロナから始まって、休校期間は何もせずサボっていたのが3年になって回ってきた。2年の時は先輩におんぶに抱っこで、選手権を経験させてもらったのは良かった。けど、3年はキャプテンとして選手権でチームを勝たせられなかったのは心残りです。
河野 悔しい、苦しい思いも結構しましたが、良い思い出もあり楽しい3年間でした。
竹下 試合でも学校でも友達といい経験ができたので楽しい3年間だった。
渡邉 いい思い出しかない。一瞬でしたが濃い3年間で楽しかったです。
森脇 ずっとBでなかなかトップに上がれずもがいていたが、2年の選手権でやっとトップに絡めた。インターハイで全国出たりいい経験できた3年間でした。
ーー3年時のインターハイでは初戦でプレミアEASTに所属する市立船橋と対戦。組み合わせが決まった時の感想は?
渡邉 またプレミアか。って感じでしたね。(近年、草津東の全国大会の初戦は前橋育英や青森山田などプレミアリーグに所属する強豪校と当たることが多いため)
竹下 プリンスの下位とかとあたりたかった。笑
ーー試合で当たった時に抱いた印象は?
河野 インハイ直前のプレミアリーグで連敗してたので、勝てるんちゃうんと思っていたけど、甘くなかった。
渡邉 結果点差は開いたけどそこまでの差は感じなかった。
河合 個々では負けてなかったよな。
森脇 やめとけって!惨めに感じる。笑
竹下 実際個々では負けてなかったで。俺連続でまた抜きしたん覚えてる?笑
4人 あ〜。あれはエグかった!
河合 個々では戦えましたが、切り替えや一瞬の早さなど球際が違った。1-1の場面までは良かったけど、得点後すぐに失点して流れを完全に持って行かれた感じですね。
ーー選手権予選決勝の近江高校戦を振り返って
河合 個々では負けてはいないがチームとして完敗でしたね。
渡邉 チームの武器を活かせられなかった。
河合 草津東は個で戦っていたが、近江は組織で戦っていた。
河野 近江はチームとして強すぎた。
草津東高校サッカー部はどんなところ
ーー草津東高校サッカー部は上下関係は厳しいですか?
渡邉 昔は上下関係が厳しかったみたいですが、僕たちと上の世代が仲良かった。下の世代とは良好な関係です。
ーー草津東高校サッカー部の伝統の練習などあればを教えてください。
竹下 エグ広い3対1。
ーー???
渡邉 外側の3人が10mほどの距離でパスをワンタッチで回し、それを中の1人が追いかけるメニューです。
河合 あれは小林総監督が長年取り入れているメニューで、ボールコントロールの練習やと思ってやっていたな。
河野 伝統ではないけど、この世代はシュートが下手だったのでボールの芯を捉えるため、テニスボールが購入された。
4人 あれはみんな戸惑った。笑
森脇 火曜がランの日ですが、たまに水曜日のダウン後に小林総監督の指示でフルコートを5往復(1km)走らされます。
4人 あれはきついよな。他に砂場でダッシュもあったな。
河合 伝統は堅守速攻とサイドアタックと聞いていましたが、この世代は個(我)が強かったためかチームスタイルが確立していなかったように感じています。
ーー新チームで注目選手を一人教えてください。
河合 力石龍之介。上原周。寺川。同じエフォート出身のGK田中功也。塩尻。森健斗。高2の時の自分に似ている河合璃空。他には・・・・
4人 いやいや、多いって!一人に絞れよ!
河合 一人に絞るとなると…塩尻かな。新チームの柱ですからね。
森脇 個人ではないですがBチームのメンバー全員です。BからでもAに上がれるチャンスはあるので腐らずに頑張ってほしい。
渡邉 小楠かな。同じセゾンFCで、草東に誘ったので。
竹下 僕も小楠かな。スパイクあげたし。
4人 真面目に答えろって!笑
竹下 塩尻かな。小学校(仰木)から知っている仲なので。
河野 藤田です。お土産もらったからというのもあるけど..同じポジションで点を決めてほしいという願いを込めて。
中学時代と今後について
ーー中学の所属チームはどうやって選んだ?
河合 中学までしか足元が上手くならないと考えていたので、足元が伸びるチームを選びました。元野洲高校の美濃部監督が率いるエフォートは足元を伸ばすことにこだわっていたので。なお当時のエフォートはセゾンと同じ練習メニューが多かったです。
河野 アミティエからMIOに進むケースは多く、自分も自然とMIOに進んでいた。
竹下 トレセンの友達がMIOに進んだから。
渡邉 小一からセゾンのスクールに通っていたので自然な流れで中学もセゾンを選びました。潮入監督が居ることが大きかったですね。
森脇 田上のスポ少で自宅から近いクラブを選んだが途中で消滅してセントラルに行くことになりました。
ーー最後に将来の夢を教えてください。
河合 建築士になってサッカースタジアムの建築に携わりたいです。中学3年生のデンマーク遠征でプロの試合を観戦した時、観客の声がスタジアムに響き渡っていた欧州のスタジアムに感動しました。客と選手がお互いに楽しめるようなスタジアムを建築したいです。
河野 プロを目指していましたが、色んなことがあって今は悩んでいます。
竹下 お金持ち。
4人 真面目に答えろって!笑
竹下 本当になりたいものとかないねんて。
渡邉 大学では4年間プロを目指して頑張りたいです。難しければ教員免許を取得して指導者になりたい。
森脇 プロです。まずは大学で埋もれないよう頑張ります。
この世代は周囲からの期待を背負い、自分達の実力を信じていたからこそ、3年時の結果はなかなか受け止めきれなかったかもしれない。しかし、この悔しさを糧に次の目標に向かっている様子が垣間見れた。今後の活躍に期待。
また、5人の会話からサッカー部での生活での充実ぶりを窺うことができ、改めて高校サッカーの魅力を感じたところである。
最後に余談ではあるが、この世代のスタメン半数は一般入試で入学しており、体育科で入学できる実力者が普通科で入ったことから戦力が充実したようだ。野球でいう彦根東高校のように、サッカーも勉強も頑張りたいという多くの若者が毎年門を叩いているのだろう。