お金のことで好きなサッカーを諦めないでほしい|吉田実成都選手(レイジェンド滋賀FC)の選手と会社経営の2刀流への思いとは

2023年は滋賀の第1種(社会人)が熱い!

昨シーズン、JFL(Jリーグ4部相当)で最下位となったが奇跡的に残留したレイラック滋賀。現在は6位だが一時期JFLで首位になるなど、現状だけを見ると体制変更が功を奏していると言える。(R5.7.31時点)今夏の移籍ウィンドウで若手選手を次々に獲得しており、後半への巻き返し、優勝戦線の復帰に期待したい。

また、関西リーグ1部(Jリーグ5部相当)に所属するレイジェンド滋賀FC、守山侍2000も好調。

守山侍2000はスタートダッシュこそならなかったが中盤以降に調子を上げている。現在首位との勝ち点は6点差で3位につけている。前節では首位のアルテリーヴォ和歌山を叩き、現在4試合負けなしの状況。

レイジェンド滋賀FCは開幕後8試合無敗をキープし、一時期は首位だった。直近2試合は連敗しているが首位との差は5点で、逆転優勝も可能だ。次節は首位アルテリーヴォ和歌山と直接対決。絶対に負けられない試合だ。

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今回お話を伺ったのは元草津東の7番

さて今回は、レイジェンド滋賀FCの後半戦のキーマンとして期待を寄せている選手に話を伺った。

それは、かつて野洲高校と草津東高校が県内でしのぎを削っていた頃に、草津東高校の7番を背負い、中心選手としてインターハイにも出場した吉田実成都選手だ。

吉田実成都選手の経歴

吉田選手は、草津東高校時代に現在アビスパ福岡でプレーするGK村上昌謙選手とともに全国を戦った後に、大阪学院大学に進学。大阪学院大学時代は1年時からプレーの機会を得て、2年からは主力として戦う。

その後、複数のプロの練習参加を経て、卒業時にAC長野パルセイロに入団。長野時代は怪我などもあり4試合の出場に留まった。その後、地元のMIOびわこ滋賀に完全移籍。

MIOでは2シーズンプレーした後に、2017年からレイジェンド滋賀FCでプレー。

7シーズン目を迎える今季は出場機会は減ったものの、6月の試合では途中出場でゴールを決めている。今季は出番が限られているが、終盤戦の活躍が期待される。

なお、仕事では障害福祉の業務を担う法人を立ち上げ、現在はサッカー選手と社長の2刀流で頑張られている。

長野時代の写真1(本人提供)
長野時代の写真2(本人提供)

社長と選手の2刀流について聞いてみた

ーー現在、レイジェンド滋賀FCの選手と会社の社長の2刀流で頑張られています。会社を立ち上げられた経緯を教えてください。

(吉田)JFLのMIOびわこ滋賀に所属していた時、(当時のMIOとの契約で)2時間の練習でお金は貰えましたが、サッカーとは別に仕事もしなければならない状況となり、サッカーもしたいけど将来を考えていかなあかんと思うようになったんです。

他の選手も、サッカーはしたいけど金銭面の問題で引退をするという選手も多くいます。プロもセミプロも見てきた中で、どうしてお金の事で好きなサッカーをやめないといけないのかとギャップを感じました。

レイジェンドは仕事のことも考えてくれるしサッカー選手としても100%やらせてくれます。それでも、家族ができたらお金も必要になってきますし、金銭面の問題に直面してサッカーを辞める人もいます。

自分の会社(株式会社minatone)を立ち上げる前に勤めていた会社の代表が、サッカーも仕事も両方とも全力で頑張ってほしいという考えを持たれていた方で、その人に影響され、お金のことで好きなサッカーを諦める人が減ってほしいという考えを持ったんです。それが会社を立ち上げようと思ったきっかけです。

そのため、出来るだけサッカーを長く続いてほしいという考えなので、アスリート枠というのを設けレイジェンドの選手も自身の会社で勤めていただいています。

ーーレイジェンドの選手は福祉系の仕事に就いている人が多いですよね

(吉田)サッカー選手は身体が動くので福祉に向いていると考えています。あと、しっかりコミュニケーションもとれるので。(福祉の)仕事は大変なイメージはありますが、実際就いてみると楽しいですよ。会社は障害福祉の仕事をやらせていただいていますが、もっとこの仕事のことを知ってもらえれば嬉しいです。

ーーHPを見ていると障害のある子ども向けのサッカークラブを運営しているんですね

(吉田)みなけんFCというチームで月に一度、障害のある子供たちにサッカーを教える活動をしています。もっと障害の方と障害を持っていない方との関わりが増えればいいですね。

ーー仕事もお忙しいかと思いますが、1日のスケジュールを教えてください。

(吉田)午前中はサッカーで午後から仕事。(障害福祉の仕事は休日も多いが)社員みなさんの働きやすさを考えて、自分が土日に仕事をすることも多いです。

ーー社長業もやられていたらコンディション調整が大変では?

(吉田)サッカーと仕事の両立は必ずできると考えているので、どちらもコンディションは100%に持っていきます。コンディションはいいですよ。自分次第ですねそこは。結構時間を無駄にしていることが多かったんで。プロの時は。

ーーサッカーやっている人は、生活と合わずフェードアウトしていく人が多い印象。そんな中、好きなサッカーやり続けていくのは凄いなと練習見てしみじみ思いました。

(吉田)社会人でサッカーしている人は、(練習時間にもよるが)昼から働く人が多い。また、夜の練習があるチームに所属している人は仕事後にサッカーをします。そのような生活なので、心のそこから好きな人が多いです。サッカーが。

だからこそ、サッカーが嫌いになったから辞める以外の理由で辞めるのが寂しいです。自身の会社では、サッカーを長く続けて欲しいので、サッカーアスリート枠というのを設けて、選手を雇用しています。

ーー吉田選手は色々なチームを見てきたかと思いますが、現チームについてどう見ていますか?

(吉田)ずっと関西リーグにいることがよくないと捉えられがちですが、逆にこの関西1部に所属し続けられているという見方もできます。結果出すことでスポンサーがついて来てくれたり、地域密着で色んな人が見に来てくれることでJFLへの昇格が見えてくるので頑張りたいと思います。

プロサッカー選手という職業|AC長野時代

ーー長野に所属していた頃をお聞かせください。

(吉田)小学校、中学校、高校、大学の時は、自分でお金払って夢に向かってサッカーする。プロで急にお金もらってサッカーをするという立場となり、よくない意味でギャップがあった。またプレッシャーが凄くありましたね、いつ首切られるかなと。

ーー良くない意味でのギャップというと天狗になったという意味?

(吉田)今振り返るとそうですね。自分の場合、目標設定が低すぎたのが原因です。プロになるのが夢。それが叶った時に目標を改める必要があったのに、改めなかった。そこが良くなかった。そこがわかっていたら、今もJリーグにいる可能性があったと思います。

ーー様々な経験をされていますが、どのような選手がプロになるのでしょうか

(吉田)武器を作らないとだめ。絶対。サッカーの能力を五角形で例えた場合、綺麗な五角形ではなく、一つ飛び抜けた形になるように。一個飛び抜けた武器があれば(プロとして)戦えると思います。自分は体力が全くないですが、ドリブルには自信があり今でもJで通用すると思っています。誰にも負けない武器が必要ですね。

ーーそれは恵まれたフィジカル的なものでなくても大丈夫ですか?

(吉田)スタミナやパスの質などでも全然良い。ちなみに現在、アビスパ福岡で活躍されているGKの村上選手は、(草津東高校の在籍当時から)シュートストップに絶対の自信があって武器だった。ガンバ大阪の山本選手も空間察知能力が人と全然違う。

身体能力にこだわる必要はなく、自分の得意なところを伸ばしたほうがい。苦手なところをストロングポイントに持っていくのは無理があるので、苦手なところは隠す努力が必要です。

草津東高校時代

ーーありがとうございます。ちなみに村上選手とは高校時代、一緒にプレーされているんですね。

(吉田)そうですね。自分の1つ下の年代です。自分の年代に良いキーパーがいたので、始めはあまり試合に絡んでいませんでしたが、第一GKが怪我をしてから、試合に絡み始めてすぐ活躍しましたね。

ーーちなみに草津東時代に思い出に残っている試合は?

(吉田)インターハイの県予選決勝で野洲高校に勝った試合が一番印象に残っています。また、天皇杯の予選でレイジェンドと試合をしているんですよ。そこで試合した後に今の縁があるっていうのは不思議なものです。

ーー高校時代にレイジェンドと試合しているんですね!?結果はどうでした?

(吉田)確か、県予選の準々決勝でビッグレイクの試合だったかと思います。当時はまだ滋賀FCだったかな。実はその試合で、アビスパ福岡の村上選手がムッチャ止めて試合に勝ちました。しかし、当時の滋賀FCは勢いがあって強かったのを覚えていますね。

今後の目標

ーー今後の目標を教えてください

(吉田)サッカーは個人の目標というよりチームの目標ではありますがJFL昇格。本当に行きたい。JFLに行けばもっと滋賀がサッカーで盛り上がると思うので。

ーー社長業の方はどうですか

(吉田)サッカーやっている人が続けられる環境を整えたい。そのためにも選手を雇用するなど、働きながらサッカーを続けられる受皿として頑張っていきたいです。

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