近江高校 VS 比叡山高校マッチレポート【全国高校サッカー選手権大会滋賀県大会高 準決勝】

目次

昨年の決勝戦と同一カードになった準決勝

2年ぶり2回目の全国大会出場を目指す近江と初出場を目指す私立同士の一戦。

プリンスリーグ1部で好調の近江は2回目の全国出場を決め、近江サッカーを誇示したいところ。対する比叡山は2年ぶりのベスト4。昨年インターハイで県大会初優勝した流れに乗り、選手権でも結果を残したいところ。近江パスワークに対し運動量が特徴で堅守比叡山がどのように守るか注目です。

両校のフォーメーションと出身チームの紹介

フォーメーションは近江が両サイドのWBが高い位置を取る3-6-1、比叡山は両SHが低く位置を取る3–5-2です。

近江と比叡山のフォーメーション

両校のスターティングイレブンの中学(3種)の出身チームは次のとおりです。

近江スタメン

近江は7名が3年生で、3番2番7番14番の4名の2年生がスタメンに名を連ねます。

対する比叡山高校のスターティングイレブンは次のとおりです。

綾羽スタメン

比叡山は8名の3年生と、GK1番,8番,22番の2年生がスタメンです。

準決勝第2試合キックオフ

比叡山ボールでキックオフ。この試合も第1試合(草津東高校VS綾羽高校)と同じく、開始まもない時間帯で先制点が生まれます。

前半6分 近江 1-0 比叡山

前半6分、2番のスローインを14番に当てて、2番に戻した後ためを作り、ギャップができた箇所に10番が入りこんだのでパス。

ボールを受けた10番は素早くエリア外から右足を振り抜く。コースは甘かったがGKの逆をつきゴール。トラップからのシュートが早かったので、おそらく事前にシュートを一つ目の選択肢として考えていたのでしょう。

比叡山は人数をかけて守っていたがギャップをつかれ先制を許した。おそらく守備から入りカウンターでの1発狙いであったため、この失点でゲームプランが崩れた可能性が高い。

近江先制点

近江のテンポの良いパスサッカーに比叡山がくらいつく

先制後も近江がボールを保持し、比叡山が耐える流れが続きます。近江は左サイドの2番を起点に、14番、10番が絡みチャンスを作ります。

前半11分、近江のビックチャンス。

2番がセンターラインあたりからボールを持ち運び、パスの出所がなかったため反転。すかさずフォローしていた10番にスイッチ。

左サイドでDFを引き付けて間にポジションをとっていた14番にパス。14番は近くで待ち受けていた2番にダイレクト。

2番は狭いスペースを個人技で1人かわし再度14番に送り、DFラインの裏を狙う。14番は少しためた後に2番にスルーパスを送りゴール前でフリーに。2番はプラス気味にグラウンダーのクロスを送る。これを9番が詰めていたが、ゴール前で比叡山DFがスライディングクリアし難を逃れます。

近江らしいパス回しによりチャンスを演出

近江は3人の選手がポジションチェンジを繰り返しながらパスをつなぎ、少人数でチャンスを作った。高い連動性/流動性と個人技が絡み合った近江らしい場面でした。

前半20分 比叡山にチャンスが訪れる

前半20分、セカンドボールを拾えるようになった比叡山にチャンスが訪れます。

草津東同点弾

近江DFがクリアしたボールを比叡山2番が拾い、右サイドに展開。受けた18番が早めのクロスを入れます。

待ち受けていた5番が潰れてボールがこぼれます。拾った2番が左足で切り返し右足に持ち替えエリア外からミドル。惜しくもミートせず近江DFがクリア。

中盤の高い位置でマイボールにしてすぐに前線へ展開した狙い通りの形ではなかったでしょうか。

近江怒涛の攻撃

前半で比叡山のチャンスらしいチャンスは前半20分の展開ぐらいで、近江が押し込む時間帯が続く。近江両WBが非常に高いポジションをとるため、比叡山の両WBはバックラインに吸収される形となり、中盤でセカンドボールが拾えず、近江の波状攻撃が止まらない。

前半25分 近江右サイドでためを作り10番が左サイドにサイドチェンジ、エリア内に走り込んだ2番がヘッドで中に折り返す。9番と18番の2枚の選手が飛び込んだが、比叡山の懸命な戻りによりシュートならず。

前半27分 比叡山DFのクリアが近江の中盤に跳ね返され、エリア中央で11番の足元にわたります。比叡山DFが揃っていたので混戦となりボールがこぼれる。こぼれ球を出足の良い近江の10番が拾い、エリア外から左足でミドルもGKが正面でセーブ。

その後も近江は左サイドを中心に崩しにかかります。対する比叡山は耐える時間が続くが集中を切らさず、カバーリングを怠らず、また最後は体を投げ出しブロックするなど高いレベルの守備を見せます。

しかし、比叡山がマイボールにしても、攻守の切り替えが早い近江がすかさずプレッシング。そのため前線に質の良いボールを前線に送れず相手ボールになる場面が多く見られます。

比叡山怪我を負っているエースを投入

前半33分、比叡山の選手交代で18番に替えて10番(Verbento京都)が入る。

エースの10番は準々決勝で靭帯の大怪我を負いプレー時間が限られた中での出場です。流れを変えられるか期待です。

前半40分、2番10番4番の3人で左サイドを崩しにかかるが行き詰まり、4番が作り直すため10番に預ける。10番が14番に渡し、再度左サイドを狙うと思いきや切り返して右サイドの6番にパス。6番が空いたスペースを持ち運びミドルシュート。比叡山DFにあたり枠を外れたが惜しいシーン。

揺さぶりによってできたギャップをついたミドル

最小スコアで前半終了

近江がボールを終始握り、流動的なポジションチェンジやアタッキングサードでの個人技により次々チャンスを創出しますが、比叡山の堅い守備により追加点が取れませんでした。

近江は10番と2番が決定的なチャンスを次々作りましたが、気になったのは14番。至るところに顔を出しボールを受け、近江のリズムを作っていました。14番がボールに絡むと何か起こりそうな予感です。

後半開始

後半2分、早々に近江のチャンス。

2番がハーフライン付近から左サイドでボールを運び中央へ、比叡山はDFラインと中盤にギャップが空いているためチェックに行けない。

2番が右サイドでフリーとなっていた7番にパスしそのままエリアに侵入。右サイドの7番はファーポストをめがけシュート性のクロスを入れる。触れば1点もので、2人飛び込みますがゴールラインをわります。

前半よりギアを上げた近江。耐えられるか比叡山

後半12分、中盤のルーズボールをプレスバックした近江11番がカット。14番にこぼれドリブルで中央に持ち込みます。比叡山DFラインはチェックに出ることができず、ズルズル引き下がったタイミングでミドルシュート。これは大きく枠を外れます。

後半14分、中盤のルーズボールをかっさらった近江2番がスピードに乗り左サイドをドリブルで侵入。比叡山DFを緩急で交わし、エリア中央へマイナスにパス。タイミングよく入ってきた14番が良い位置にトラップし、左足を振りぬく。強烈なシュートはGK正面でしたがキャッチができず、弾かれたところを再び詰めるもオフサイドとなります。

近江は攻守の切り替えがよく早いプレッシングによって比叡山にボールを蹴らせません。また攻撃面は全体の運動量がまし、前半以上にポジションチェンジを繰り返していました。特に7番の運動量が増して右サイドが活性化していたように感じます。

比叡山は前半と変わらず高い集中力で追加点を与えません。また最後の砦であるGKもポジショニングと前に出るタイミングがよく好セーブを見せます。一方で攻撃はというと、マイボール後に前線に蹴り込むも正確性を欠き収められない状況が続きます。

後半15分、両チーム選手交代です。比叡山は11番に変わり9番(京都サンガF.C.SETA滋賀)が入り、近江は9番に変えて15番(MIOびわこ)を投入します。

又しても右サイドからチャンスを生み出す

後半23分、右サイドからチャンスができます。左サイドでボールを持った7番が中央に切れ込む。エリア中央でDFラインに入っていた11番がダイアゴナルランで中央から右サイドの裏に抜ける。7番がタイミングを合わせスルーパス。GKと1対1を迎えるがGKの出足がよくセーブ。

2年生GKもDFライン同様に集中を切らさず好セーブを連発します。

その後も展開は変わらず、近江がゴール前までボールを運びますが最後に比叡山の守備に捕まり、追加点が奪えません。

後半25分、比叡山の選手交代で15番に変わり1年生DFの17番(BandieraAKATSUKI)を投入します。

ベンチが慌ただしくなり高校サッカーあるあるの終盤にドラマがある展開を期待します。

続いて後半30分に近江も選手交代14番に変わりスーパーサブのFW16番(rabona一宮)が投入。

後半32分、比叡山2番out14番(MIOびわこ)in。近江4番out,8番(カナリーニョ)in。

最後まで攻め続けた近江、集中力を切らさなかった比叡山

後半38分、近江にチャンス。

左サイドで10番→5番→10番→13番→10番と狭いスペースでテンポよくパスをつなぎ、10番がスピードをあげ二人かわして中央で待っていた15番へパス。15番が右隅にミドルを打ちますがGKがまたしても好セーブ。

後半41分、比叡山の選手交代。22番に変えて24番(MIOびわこ)を投入し攻撃を図ります。

しかし時すでに遅しで、最後まで攻め続けた近江が1-0で勝利しました。

勝手に試合を総括

  • 近江は下馬評どおりの強さで、技術の高さ、サッカーIQの高さが光っていました。また攻撃ばかりが注目されますが、攻守の切り替えが早く運動量も多く、今大会無失点の勝ち上がりに納得です。
  • 敗れた比叡山ですが、再三にわたるピンチも体を張ってしのぎ、集中力を欠かさずプレッシャーをかけ続ける姿は素晴らかったです。開始早々の失点がなければ比叡山のゲームプランどおりに進み、違った展開になっていたと思います。

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