「これじゃあかん」という思いからレイジェンドの誕生|レイジェンド滋賀FCのあゆみ#2

山内氏は自身が企業チームに属していたため、企業チームの特性を理解していた。企業のトップは頻繁に変わるため運営母体からの継続的な支援は期待できないこと、母体の支援が止まると活動停止に至る可能性があること。そのため、次なる行動に移される。

目次

「これじゃあかん」という思いからレイジェンド滋賀FCの誕生

-滋賀FCの解散が免れたわけですが、TOJITSUでの活動は2年間なのですね。

企業チームなのかクラブチームなのか分からへんやないかという状態が続いてて。母体の社長も2年ぐらいで交代される。次に社長が変わったら「(TOJITSUへの支援について)なんやそれ」ということにもなって、段々とチームから離れて(支援が少なくなって)いった。

それを察知していたので、「これじゃあかん」と思い、これまで支援していただいた協賛企業さんと一緒になってやっていこうとなり、2012年にクラブ名称を一般公募して、クラブチームとして動いていくことになったんです。

-2010年から2012年までは東洋実業が母体として支援があったわけですか。

そうです。2010年から徐々にですが支援は先細りになっていましたが。

プラズマテレビの需要に乗っかり東洋実業に選手を25名紹介しましたが、そうこうしているうちにプラズマテレビの需要も落ちてきて、事業も無くなり。今企業に残っている選手は誰もいません。

他のスポーツでも企業チームの廃部というのはこの時に見てきたので、企業チームというのは難しいなと。

じゃあどうするとなった時、サッカーも仕事もやってもらわなあかんので、仕事はスポンサーのところで協力いただいて、その時の7〜8割の選手は協賛いただいているスポンサーのところで働かしていただいた。

-レイジェンド滋賀FCとなってからの状況は?

事務所の壁一面に貼られたシーズンポスター クラブの歴史を物語っている

選手が、仕事終わりの19時頃から練習を始めていましたが、残業などの理由で25名選手がいたら来れるのは17〜18名ぐらいでなかなか人が揃わない状況が当たり前でした。

当時、レイジェンドは関西リーグを1部と2部を行ったり来たり。

1部リーグに定着している学生チームを除いたほとんどのチームは朝の練習だったんです。なぜ朝の練習かというと、リーグ戦は昼間の時間帯しか行われないない。ナイターはあっても夏場の夕方。

朝の練習をする方が夏場の体力維持に繋がっていくので、1部に定着しそれ以上を目指すには朝の練習が必須でした。なので2015年に朝練習に変更しました。

朝練に変えたら変えたで、仕事の勤務時間帯と合わず、過去3年(2012-15年)の主力8人ぐらいが抜けました。その結果(朝練に変えた)1年目はやっぱり2部に落ちました。ただ、ここから上に行くには通っていかなければならない道のりやなと。

朝練にすることで平日の練習は選手全員が揃って行えたし、もう一つよかった点として、当時働き方改革で、社員には残業させられないという風潮の中、変則勤務で昼から夜まで働ける人材の需要が高まったので、選手の働き口が広がった。

さらに福祉の仕事、放課後等デイサービスで養護学校終わりから親御さんが帰ってくる夜まで子供を預かるという仕事も増えてきて。なので福祉関係で働いている選手は多いです。

-レイジェンドで長年活躍している吉田実成都選手とか福祉の法人を立ち上げておられますね。

そうですね。彼も福祉の仕事をしていて、会社立ち上げる時にヘルパーの資格とか取っていた。

いろんな選手を受け入れる時に、いつも履歴書で教員免許の有無を聞くんです。なんでかというと、福祉関係の仕事は教員免許を持っていたら少し優遇されたりするので。あとは放課後指導員とかヘルパーの資格取ったりとかを促しますね。資格が増えれば増えるほど自分の給与アップにもつながるので。

なかなか福祉系の仕事は(選手に)抵抗があるかと思っていたんですがそうでもなく。あと子供を公園に連れていって遊ばせる時、若い人でないと対応できないということも大きく事業所からは重宝されます。

-社会の流れもあり結果、朝練習は功を奏したんですね。

1部は定着しなあかん、その上を狙わなあかん。でも、上のカテゴリーにはMIOがいて、強豪のSAGAWAが廃部になったりと変化。守山侍というチームが同じ地域にあるんですが、チームの立ち上げは滋賀FCと同じぐらいの時期ですが、ずっと県リーグにいたんです。

守山侍が県リーグから関西2部に上がる前後ぐらいに、レイジェンドのOBが7〜8名が移りました。

もともと、うちでプレーしてたけど、結婚、出産、仕事の都合などの理由で朝練習に参加できないから守山侍に移っていき、あれよあれよと力をつけられ、知らないうちに同じカテゴリー(1部)にきてしまった。(笑)

去年、守山市長に守山ダービーとして「守山同士の対決なので守山市民の方応援してください」と取り上げていただきました。

忘れもしません5月29日が1戦目やったんですよ。うちはずっと1部に定着していて守山侍は1部に昇格してきたチーム。どう考えてもレイジェンドが有利やろうという周りの雰囲気があり守山市役所で記者会見をしました。

ほんならその当日0-4で大敗ですよ。市長も言葉が見つからなかったようで‥(苦笑)

ただ後期の2戦目は逆に勝って1勝1敗に終わりました。(守山侍は)うちのOBも複数いるので力はあると思っていましたが、なかなかサッカーは簡単ではないなと。

-今後の目標は

チームとしては一部定着しつつ上に目指さなければならない。

県としてはJ不在県ということで、6県のうち4県はJFLチームがあり滋賀もMIO(レイラック)がある。なんとか滋賀はドベにならないことを目指し、J3の基準は満たす競技場を彦根に作り、2025年の国体の準備をしているという現状です。

チームの解散危機、企業チーム化、そしてクラブチームへと様々な難局を乗り越てきたレイジェンド滋賀FC。関西1部で長年足掻いている現状であるが、ジュニアユース(U15)の定着化、ジュニアチームの創設と、着実にクラブの基盤が充実しつつある。今後の飛躍に期待したい。次回の記事は、MIOとの合併協議やクラブ経営などについて伺った内容を掲載する。

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